軽犯罪法第1条20号の解釈

軽犯罪法第12条20号に
「公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方でしり、ももその他身体の一部をみだりに露出した者」
と書かれています。

このトピックでは、この文章の解釈について、論じましょう。

私は法律の専門家ではありません。
ので、以下に述べる事は、私の考えであって、公的に認められているものと一致しないかもしれません。
ただ、文章を字義通りに解釈すると、どう成るかを、考えてみたいと思います。

ここで私は、「しり、ももその他身体の一部を露出した」という条件以外に、様々な条件が課せられている事を、指摘したいと思います。

・公衆の目に触れるような場所で
・公衆にけん悪の情を催させるような仕方で
・みだりに

という条件が、それです。
したがって、これらの条件が成り立っていなければ、しり、ももその他身体の一部を露出しても、軽犯罪法第1条に違反した事には成らないはずです。

女性のミニスカートは軽犯罪法違反だ、という意見を時々目にする。

確かに、多くの場合、女性のミニスカートは「しり、ももその他身体の一部を露出した」という条件、および「公衆の目に触れるような場所で」という条件に該当しているだろう。

しかし、それを見た人に嫌悪の情を催させるものではない、と私は思う。
見る人が男性の場合、普通は逆に、女性のミニスカートを好ましく思う、のではなかろうか。
私は、好ましく思う。

痴漢やレイプの犯人が、軽犯罪法を持ち出して被害者を逆批判する事があるらしいが、痴漢やレイプの犯人が被害者に嫌悪の情を抱いたから犯行に及んだ、という事は、極めて有りそうにない。
犯人は被害者を著しく好ましいと思ったから犯行に及んだ、と考えるのが自然である。
実際、テレビ等で、その手の事件の報道を見ていると、犯人は以前から○○さんに好意を持っていた、という情報を耳にする事が多い。

田嶋陽子さんの様な人が、女性のミニスカートに嫌悪の情を催す、という事は、あるだろう。
しかし、特定の個人や特定の価値観を共有する集団に嫌悪の情を催させたら、それで公衆に嫌悪の情を催させた事に成るのか？
私は、成らないと思う。

嫌悪の情を催させる格好というのは、それを見た人が「きったねぇ（汚い）格好するなよ」と言いたく成る様な格好だと思う。
だから、基本的には、自分の魅力を出来るだけ多く引き出した状態の格好、というものは、いかに露出度が高くても、公衆に嫌悪の情を催させる格好ではない、と私は考える。
しかし、そうは言っても、今のところ、公道で陰部を露出して歩いている状態が自分の魅力を出来るだけ多く引き出した状態だ、と言える人は全く居ないだろう。
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Last edited at 2009/10/17/09:05JST

本件では、文面から何が読み取れるか、という議論から少し離れる。

公衆にけん悪の情を催させても、
そのけん悪の情の内容が、羨望やライバル意識だったなら、
公衆にけん悪の情を催させたから処罰する、というような事は、
本来行なうべきではない。

例えば、非常に目立つ高級乗用車を乗り回している人を見た時に妬み深い人が感じる嫌悪感と同じ種類の嫌悪感や、自分の外見に劣等感を感じている女性が容姿をみせびらかす女性に対して感じる嫌悪感というものは、羨望やライバル意識に属するだろう。

また、評価の対象と成っている服装の人物がもっと身分の高い人よりも身分が高く見える点を問題視する嫌悪感も、羨望やライバル意識の類だ。

露出度の高い女性の服装は挑発的だ、と良く言われる。

私は、挑発された時に感じるのは嫌悪の情ではない、と思う。
つまり、挑発する事は公衆に嫌悪の情を催させる行為ではない、と思う。

「公衆の目に触れるような場所で」という条件と「公衆にけん悪の情を催させるような仕方で」という条件が何を意味するかを知るためには、「公衆」という言葉がどういう意味で使われているかを知る必要がある。

少なくとも言える事は、これらの条件は、「公衆の」や「公衆に」という限定句が入っている分だけ、入っていない場合よりも成立し難い条件に成っている、という事だ。

「他人の目に触れるような場所で」とか「他人にけん悪の情を催させるような仕方で」という文章と比べて、もっと成立し難い条件を表している、という事である。
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Last edited at 2009/10/19/09:03JST

「みだり」の意味を国語辞典で調べると、「むやみやたら」という意味と「筋が通らず、でたらめなこと」という意味が載っていた。

「むやみ」の意味を国語辞典で調べると、「あとさきを考えないで物事をすること」という意味と「度を越すようす」という意味が載っていた。

「やたら」の意味を国語辞典で調べると、「むやみ」という意味と「みだりに」という意味と「手あたりしだいに」という意味が載っていた。

「筋が通らず、でたらめなこと」や「あとさきを考えないで物事をすること」や「度を越すようす」は分かるのだが、それとは別に「みだり」＝「むやみ」＝「やたら」という言い換えで結ばれた意味があるらしく、こちらは、分からないと言うか、日本人として既になんとなく分かっている以上には分からない。

いずれにせよ、法律の条文を全く字義通りに解釈するならば、公衆の目に触れるような場所で、公衆にけん悪の情を催させるような仕方でしり、ももその他身体の一部を露出しても、それが「みだりに」でなければ、軽犯罪法第1条20号には該当しない事に成る、という点は面白い。
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Last edited at 2009/10/20/09:31JST

露出箇所については「しり、ももその他身体の一部」と書かれている。

これでは露出箇所を指定した事に成らない、顔だってその他身体の一部だ、という面白いコメントを見付けた。
http://www.geocities.jp/kaniku4/jyoukyou.htmlの∥*補足*∥の項。

それを見て、なるほどなあ、と思った。
字義通り解釈する、という観点から言うと、軽犯罪法第1条20号は、露出箇所を全く指定していない、という事に成る。

本当に「全く」なのか？
「しり、ももその他身体の一部」という書き方では、何かが、しりとももについては言えるが身体の他の部位については言えない、という事は無いだろうか？
「しり、ももその他身体の一部」＝「しり、ももまたはその他身体の一部」だと考えられるので、そういう事は無さそうだ。

では、「一部」という限定についてはどうか？
全部を露出した場合には、一部ではないから軽犯罪法に違反しない、という事に成るか？
それとも、全部を露出した場合には、いずれの一部についても露出しているので、一部を露出したと判断されるだろうか？
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Last edited at 2009/10/25/08:59JST

「その他身体の一部」は身体の特定の部位だけを指す、という可能性も考えられる。

「しり、もも、性器を露出した」という文を「しり、ももその他身体の一部を露出した」という文で表す事は、文法的に許されるのではないか。

例えば「米、小麦その他穀物の一部を輸出した者を処罰する」という文が、「米、小麦その他穀物の一部については、これを輸出してはいけない」という意味を表し得る事から、その事が分かる。

そう考えると、「しり、ももその他身体の一部」というのは、身体の特定の部位を表しているのであって、その部位以外の部位を露出しても軽犯罪法違反には成らない、という条件を表すための文言なのかもしれない。

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Last edited at 2009/10/26/09:45JST

若い女性が被服を徹底して顔と手以外は肌がほとんど全く露出しない様にしている姿を見て、いぶかしく思った事が私には何度もある。

本人が好きでそうしているなら全く問題無いし、露出の度が過ぎている場合と違って、見た人が快く思うか否かで行為の善悪が判断されるべき事ではない。

しかし、何の情を催すか、という問題については、私は、暑苦しい、とか、むさくるしい、という負の印象を受ける事が多い。

ロングヘアーが良く似合う美人が髪をチンチクリンに束ねて魅力を抑えている姿を見た時にも、私は負の印象を受ける。

周りの人から言われて仕方なくそうしているとしたら、その様な圧力には義憤を感じる。
日本はいつからイスラムに成ったんだ、という風に。
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Last edited at 2009/10/29/11:14JST